(YouTubeと同じ内容のテキストです)

『私と緑の原点』

私は栃木県の石橋という町で生まれました。父の仕事の関係で、幼い頃に2度引っ越しを経験しています。最初の引っ越しは4歳の時、岡山の山の麓にある社宅に移り住み、8歳までのびのびと自然の中で暮らしました。

当時は、近くの小川で魚やエビをとったり、川の水面を眺めて「自分が進んでいるような」不思議な感覚を楽しんだり、自然の中で過ごす時間が何よりも楽しかったのを覚えています。山に囲まれ、田んぼが広がる風景は、今でも心に残っています。ブレーキが壊れた自転車で田んぼに突っ込んだ、そんな笑い話も思い出のひとつです。

8歳の時、千葉県船橋市に引っ越し、都会の暮らしにわくわくしながらも、どこか物足りなさを感じていました。今思えば、それは自然のダイナミックさや色彩豊かな景色を、無意識に恋しく思っていたからかもしれません。

この頃の体験が、私の「緑への想い」の原点になっていると感じます。


『緑を届ける仕事へ』

高校生になり、進路を考える時期にふと思いました。
「どうすれば、自然が少なくなった街の中に、また緑を取り戻せるだろうか?」
その答えが「造園」でした。造園なら、人々に喜んでもらいながら緑を増やすことができる。そう考え、この道を志す決意をしました。

そこから、日本全国のお庭や公園を見て回りました。北海道から九州まで、さまざまな風景に触れ、さらに海外の庭園にも関心が湧き、アメリカ、カナダ、イタリア、フランス、スペインと、機会を見つけて足を運びました。

「見てきたものを、少しでも自分の庭づくりに活かせないか」その一心で旅を続け、多くを学ばせてもらいました。


『お客様とつくる理想の庭』


お客様それぞれに思い描く暮らしのカタチがあります。その理想を、できる限り実現できるようなお手伝いをしたい――これが私の庭づくりの基本姿勢です。

お客様の声に耳を傾け、暮らし方や好み、感じていることを丁寧に汲み取って、ご提案していく。
そうして形になったお庭を見て「お願いしてよかった」と言っていただけた時、それが私にとって何よりの喜びです。

造らせていただいたお庭には愛着が湧きますし、定期的なお手入れを通して植物たちと再会できることも嬉しいひとときです。植木ひとつひとつに性格があるように、お手入れの方法も異なります。評価のお言葉をいただけると、ますます励みになります。

また、お庭づくりでは人柄を見てご依頼くださるお客様もいらっしゃいます。そうしたお声をいただくたびに、長く信頼関係を築けていることへの感謝で胸がいっぱいになります。


『最後に』

「種村さんにお願いしてよかった」と言っていただけることが、私にとって一番の宝物です。

これからも一つひとつのお庭と真剣に向き合いながら、少しでも多くの緑を残し、人の暮らしと自然が心地よくつながるお手伝いができれば幸いです。

一方で、やむを得ず緑を伐採しなければならない場面もあります。そうした時も、心を込めて丁寧に向き合うようにしています。

日々の作業は地道ですが、「喜んでもらえる」という想いが、私を支えてくれています。
これからも変わらず、丁寧に、誠実に、庭づくりに向き合っていきたいと思います。